歯の破折線 ~保存か、抜歯か~
40歳を過ぎてくると、
咬合力が強い、食いしばりや歯ぎしりの癖がある、
今回はそんな「破折線が入ってしまった歯」の症例です。
患者さんは60代の男性
「左上の奥歯が痛い」とのことで来院されました。
口の中を見ると、歯列全体に咬耗(歯のすり減り)
レントゲンを撮ると、

金属の詰め物を外してみると虫歯は無し。
しかし近心側に破折線があり、歯髄はすでに壊死していました。
おそらく破折線から細菌が侵入して、

破折線は深くなればなるほど歯の保存が難しくなり、
今回の症例もかなりシビアなケース。
ただ、患者さんの「歯を残したい」
治療はいつも通り、ラバーダム防湿下で根管拡大を行い、

今後は仮歯の状態で、最低半年は経過観察していきます。
予後が悪ければ最終的には抜歯になる可能性もゼロではありません
でも「やれることはやり切る」のが自分のスタイルなので、
ゆっくり急げ
20歳女性
検診で来院された患者さんです。
特に症状はなく、「痛いところはありません」とのこと。
念のためレントゲンを撮影すると、右上7、右下6番、7番に虫歯が見つかりました。

右下6番、7番はいずれも数年前に他院でコンポジットレジン修復を受けたとのこと。
レントゲンで見ると、2本とも修復物の下にかなり大きな虫歯が隠れていました。
虫歯は痛みが出る前に結構進行していることがよくあります。
今回もそのパターン。
まず右下6番の再治療を行うことに。

コンポジットレジンを外すとすぐに虫歯が出てきました。

虫歯治療は、”ゆっくり急ぐ”イメージで慎重に取り除いていきます。
急いで削ると歯髄(歯の神経)を傷つけてしまうことがあります。
う蝕検知液で染め出しながら虫歯だけを少しずつ取り除いていきます。
染める→削る→染める
これを繰り返していきます。

まだ、少し青く染まる部分がありますが、歯髄との距離を考えながら慎重に除去。
最終的にコンポジットレジンで修復しました。

術後のレントゲン写真を見ると、むし歯は歯髄にかなり近接していたことがわかります。

このくらいの大きなむし歯になると、個人的な印象ですが、10本治療して3本くらいは歯髄の保存が上手くいかず根管治療に移行するようです。
なので、定期的にレントゲンを撮影しながら経過観察を行う予定です。
今回の治療時間は70分。私もオジサンなので長時間の集中すると疲れますが、患者さんも長い治療お疲れ様でした。
それにしても、こういう気力と体力を使う治療をあと何年続けられるのだろう、、、と思う今日この頃です(笑)
手強い根尖病変
40代女性の患者さん
以前、治療した右下奥歯の歯茎が腫れてきた。歯も少し動く感じがする。
【レントゲン】

歯の神経の治療を受けた右下7番に根尖病変は見られましたが、デンタルX線写真だけでは根尖病変が写りきれないため、パノラマも撮影

後方の智歯にまで及ぶ大きな根尖透過像が見られます。
患者さんには、歯の根の細菌感染が原因と思われるが、かなり難しい状態で、保存できるかどうかは五分五分であると説明。
当院での治療を希望されたため、まずは再根管治療を行い、歯の反応を見ていく方針としました。
治療1回目
しっかり入った金属の土台を除去して感染歯質を丁寧に取り除いた後、レジンで隔壁を作製し、抗菌薬を処方してこの日は無理せずに終了。
治療2回目
根に詰めてある根充材(ゴム)を除去すると遠心根から排膿を確認。
ラバーダム防湿下で特に遠心根を次亜塩素酸Naでよく洗浄

治療3回目
来院時、腫脹は小さくなってきたもののまだ、遠心根から排膿が続いていたため、
根管を拡大しながらさらに次亜塩素酸Naで根管を徹底的に30分間洗浄
治療4回目
腫脹は消退したが根管からわずかに排膿していたため、次亜塩素酸Naで20分間洗浄
治療5回目
根管内は排膿も止まり綺麗になっていたが、念のため、次亜塩素酸Naで20分間洗浄
ここで根管充填を行うことも可能でしたが、慎重な?私の性格が出てしまい
「もう一度だけ様子を見よう」となりました。
この性分、なんとかしたいものです(笑)
治療6回目
排膿も完全に消失し、根管内は清潔な状態となったため根管充填
その後、仮歯を入れて3か月経過観察をしたのち、金属冠をセットし終了しました。

あとは、根尖病変が治ってくれるのを祈るだけです。
【1年6か月後のレントゲン】

昨年の冬に1年半ぶりにレントゲン写真を撮影させていただいたら、幸運にも歯根周囲の骨がだいぶ出来てくれました。
私は根管治療の専門医ではないので、手強い根尖病変の治療は毎回、心の中で冷や汗を流しながら治療していますが、患者さんご自身の免疫力にも大きく助けられたのではないかと思います。
今回のようなケースは専門医を頼られるのも一つの手です。
長々と書きましたが、締め言葉としましては、
”私の蘊蓄ブログを読んでいる時間があるなら、定期的に歯医者さんに行って健診を受けて、レントゲンを撮ってもらいましょう” です(笑)
一見小さくても要注意!子どもの虫歯の見逃しポイント
こんにちは。青山ファミリー歯科、院長の青山です。今日は、小さなお子さまによくある「虫歯の見逃し」についてお話します。子供の虫歯は一見、経過観察で良さそうな小さな虫歯でも、レントゲンを撮影すると歯の内部で虫歯が広がっていることがあります。この写真は13歳のお子さんの歯ですが、どこに虫歯があるかわかりますか?

正解は第二小臼歯の咬合面(噛み合わせの面)、黄色い丸で囲んだ部分にある黒い点です。

レントゲンで確認すると、黄色い丸で囲んだ部分が黒くなっていることがわかります。


このように歯の溝にできた虫歯を”小窩裂溝う蝕”と言います。
このタイプの虫歯は歯の表層のエナメル質で留まっていて経過観察で済むことも多いのですが、時々、この症例のように象牙質へ深く進行してしまうことがあります。特に子供の幼弱な永久歯は大人の歯と違い虫歯の進行が早いのが特徴です。
う蝕検知液を使いながら丁寧に虫歯を取り除くと下の写真のようになりました。
歯をなるべく保存するために間口を狭くして治療しているので、実際の穴(窩洞)は写真よりも中でもう少し広がっています。
歯の神経の処置は必要なかったものの中等度の虫歯だったことがわかります。

虫歯を取った後は、コンポジットレジンという材料で、窩洞を埋めて治療は終了です。

子供の虫歯は進行が速いので定期的な健診をお勧めします。
院長


